「出張授業」に行ってきました②
看護についてなんでも聞いてみよう!Q&A
こんにちは! 先日、県立A高校にオジャマしました学生担当師長と学生担当看護師で~す(^^)
県立A高校での出張授業では、生徒さんたちから看護について、仕事について、受験についてなど質問がありました。
皆さんからいただいた質問に答えていきます。
Q:専門学校と大学の違いは何ですか?
看護大学は4年制、看護専門学校は3年制のところが多いです。
看護大学は看護理論など学術的なところもしっかり学びます。
専科で保健師過程を取ることもできます(成績優秀者上位〇〇名など、大学によって保健師過程に進む人数を決めている大学もあります)。
看護専門学校のいいところは、実習が充実していて、より実践に近いカリキュラムを行っている印象があります。
就職については、看護専門学校卒だから不利、ということはあまりないです。学校に入ってからの勉学や実習での実践が就職でもより重視される傾向だからです。
だから、学校を選ぶときは、カリキュラムなどを吟味し、自分に合った学校を選ぶとよいと思います。
Q:看護師に向いている人はどんな性格ですか?
ここで師長が生徒さんにマイクを向けました。
生徒さんが思う「看護師に向いていると思う人」を逆にインタビュー。
「優しい人」「人の話をきちんと聞ける人」「臨機応変に対応できる人」「コミュニケーション能力が高い人」「人の痛みや思いを察知できる人」「身体面だけでなく精神的なケアもできる人」など、いろんな意見が出ました。
これを読んでいる皆さんはどう思いますか?
今上がっているもの「すべて当てはまる」と思いませんか?
皆さんが挙げてくれたもの 全部正解!!ではないでしょうか。
こういう性格が向いているというのが仮にあったとしたら、みんな同じような看護師ばかりになってしまう。現実的にはそんなことはないと思います。実際、現場にはいろんなタイプの看護師がいますよ(^^)/
いろんな看護師がいていろんな視点で患者さんを見つめ、違う複数の視点で考える。それが患者さんをより多角的にとらえることになり、「厚みのある看護」につながるのではないでしょうか。
一つ根底にもっていたいことは「人が好き。人間大好き」という思い。
これさえ揺らがなければ大丈夫。迷っているみなさん、看護師って素敵な仕事です。
是非、看護の道へすすんでみませんか?
Q:看護師を目指そうとしたきっかけは何ですか?
自身の母が看護師をしていたことも大きく影響していると思います。また、結婚や出産など人生のライフイベントで一度仕事から離れたとしても資格職は復職が比較的しやすいという大きな利点もあると思います。
男性も女性も同じように働いていく時代に資格職は強み!そして「人のために働きたい」という志があったから資格職の中でも看護師を選んだと思います。
Q:今まで働いた中で最も印象に残っている出来事は?
師長が訪問看護師時代に担当していた在宅療養の高齢の患者さんをご自宅で看取ったお話です。
ご高齢だけれどチャキチャキとしていたAさん、しかしだんだんと元気がなくなり、訪問の回を追うごとに動けなくなっていきました。そして、いよいよ最期かもしれない…。
ご家族は最期を病院ではなく住み慣れた自宅で迎えることを選択されました。だんだんと息が細くなっていく中、家族はいよいよ最期が迫っているのを覚悟し、ほかに住んでいる家族も呼び寄せてAさんについていました。
ベッドサイドには子供さんやお孫さん、曾孫さんが集まっていました。
師長は担当看護師としてその場に立ち合い、ご家族とAさんの残された時間を見守っていました。
ご家族は泣きながら「生んでくれてありがとう~!」と大きな声でそれぞれAさんに感謝の言葉を伝えていました。そしてAさんは家族に見守られながら穏やかに息を引き取られた、というエピソードです。
Q:看護師をやる中で「やりがい」を感じる時はどんな時ですか?
患者さんにいい医療を提供でき、それを患者さんが実感してくれた時が看護師としての「やりがい」ではないでしょうか。
看護は看護師が一人で完結できるものではないです。看護師のチーム、多職種のチームなど患者さんを中心にいろいろなチームが協力して取り組むものなので、チームでより良いケアを模索しながら取り組んでいくことが大事です。
自分の意見を持ち、そして他の人の意見を聞き、最良の方向性を探していく場が「カンファレンス」です。
良いカンファレンスができ、ケアが充実し、患者さんが喜んでくれたのを実感できた時が医療者としての「やりがい」ではないでしょうか。
Q:目指している看護師像や今後の目標はありますか?
今後、資格を取りたいと考えています。看護師になってからとれる資格がいろいろとあるんですよ。
認定看護師や専門看護師といって、看護の領域ごとにさらに専門を深め、患者さんや看護師集団に知識を広め、啓蒙活動を担う資格があります。
例えば、「救急看護認定看護師」や「糖尿病認定看護師」、今とても需要がある「感染管理認定看護師」など細分化されています。一定の勤務経験があれば受験が可能となります。
看護師になってからもステップアップの機会があるので、ぜひ取り組んでみたいと思います。
Q:看護師は患者さんに感情移入してはいけないと、ドラマのセリフがありました。患者さんの容態のことなどで悲しくなったり、泣いてしまったりすることはないですか?
看護師の仕事は患者さんの身体的なケアだけでなく、こころのケアもとても重要です。その時々の患者さんの心理模様、「悲しさ」「苦しさ」「嬉しさ」…いろいろな感情に直面します。
患者さんの内面を見つめ、一緒に模索していく中で自分も悲しくなったり、時には涙を流してしまうことも実際あります。
私はそれが悪いこととは思いません。自分の感情に流されてはいけない時ももちろんあるけれど、患者さんのために泣いてくれた看護師の姿を見て、患者さんは嫌な気分になる人は少ないのではないでしょうか。
また、一緒に喜び、笑ってくれる姿も患者さんはうれしいのではないかと思います。
看護師が生き生きとした感情や感性を持ち、患者さんの気持ちの変化にまずは気づけること、そして一緒に模索しながら良い道を選べるようにその心に寄り添っていくことが「心の通った医療」の第一歩になるのではないでしょうか。
「看護師だから」自分の感情を無理やり押し込めたり、患者さんとの間に一定の距離を取ることを課したりすることなんてないんです。
心の優しい、そして人の痛みや苦しみに親身になってあげられる、看護にとって一番大事なものを持っている生徒さんたちに、この道を志してほしい。
「看護師だからといって感情を押し殺さなくていいのだと知って、ホッとしました。看護師になろうと思いました。」という感想を読んだとき、この出張講義をして本当に良かったと思いました。
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